【ブルネイ夫婦旅 第7話】テンブロンでジップライン体験!博物館と夜の街を満喫して、いざ帰国へ

テンブロン冒険公園でジップライン体験!
ブルネイ滞在もいよいよ終盤に差し掛かったその日の朝、妻に「今日は絶対にジップラインに挑戦しよう」と持ちかけた。前日にテンブロン国立公園のアドベンチャーパーク内でクライミングタワーを目にしていたのだが、妻も「やってみたい!」と即答してくれた。
公園の入口に着いたのは午前中。スタッフの案内でハーネスを装着し、青いヘルメットを被ると、気分はもう完全にアドベンチャーモードだ。インストラクターが安全確認をしながらひとつひとつ丁寧に教えてくれる。英語での説明だったが、身振り手振りで十分伝わった。
いよいよ出発台に立ったとき、正直、足がすくむ感覚があった。眼下には青々としたヤシの木とジャングルが広がっている。インストラクターが「Ready?」と聞いてきて、思わず「Yes!」と答えた瞬間、体がふわっと空中に浮かんだ。
風を切りながら飛ぶあの感覚は言葉では伝えにくい。怖いというより、むしろ気持ちがいい。地上を歩いているだけでは気づかなかった森の広がりを、空から初めて実感した。妻も続いて滑り降りてきて、着地した瞬間に「最高だった!」と叫んでいた。
ジャングルの中で出会った熱帯植物たち
ジップラインを終えて少し歩いていると、ジャングルの中の赤い実をつけた木が目に入った。鮮やかなオレンジ色の小さな実がびっしりと連なっている様子は、南国でしか見られない光景だ。妻も「かわいい!」と足を止めて写真を撮っていた。

少し進むと、白い幹をした木が何本もすっと空に向かって伸びている場所があった。樹高は20メートルを超えているだろうか。見上げると、木々のシルエットと青空が印象的で、ブルネイの熱帯雨林がいかに豊かかを改めて実感した。

ロイヤル・レガリア博物館——王室の歴史と文化に触れる
午後は市内に戻り、ロイヤル・レガリア博物館を再訪した。前回は外観と入口付近しか見られなかったが、今回は展示の奥まで足を伸ばした。入館料が無料というのも驚きで、これほどの展示をタダで見せてくれるとはブルネイらしい。
館内に入ってまず目に飛び込んでくるのが、黄色い傘の圧倒的な展示だ。ブルネイ王室の儀式で使われる傘が何十本もずらりと並んでいる。金色の唐草模様のカーペットが足元に広がり、天井まで続く柱が列をなしている。写真で見るよりも実際のスケール感がまるで違う。

さらに奥へ進むと、赤いベルベットの階段の先に儀式の玉座が置かれた空間がある。黄色い傘と金色の装飾が荘厳な雰囲気を作り出していて、ここがイスラム王朝の博物館であることを実感させてくれる。妻は「映画のセットみたい」と言っていたが、確かにそう感じるほどの迫力だった。

ガラスケースに収められた儀式用の盾も見逃せない。赤と金の装飾が施された大きな盾で、細工の精巧さに目が釘付けになった。こういった歴史的な展示品は博物館に足を運ばなければ絶対に見られないもので、来てよかったと思った瞬間だった。

ブルネイの橋とテンブロン川の静かな風景
市内観光の合間に、スルタン・ハジ・オマール・アリ・サイフッディン橋の近くを車で通り過ぎた。ブルネイ川に架かる白い斜張橋で、少し離れたところから見るとそのフォルムが美しい。訪れる観光客にはあまり知られていないスポットだが、個人的には好きな景色のひとつになった。

テンブロン川沿いでは、川面に橋が映り込んでいた。曇り空だったが、それがかえって落ち着いた雰囲気を演出していて、穏やかな気持ちで眺めることができた。

モスクで礼拝文化に触れる
夕方前に、ジャーメ・アスル・ハサナル・ボルキア・モスクに立ち寄った。礼拝時間の合間に敷地内を少し歩いていたとき、清めの場所(ウドゥー場)を初めてじっくり見た。青いタイルと大理石のデザインが美しく、中央には小さな泉が設置されている。

イスラム教では礼拝の前に手や顔を清めるウドゥーという儀式がある。日本にいると縁遠い文化だが、こんなにも立派な施設が用意されていることに、信仰と日常生活が深く結びついているブルネイの文化が凝縮されているように感じた。
水上に建つ市場——カンポン・アイエルの日常
川の上に建つ建物群を水上ボートから眺めた。カンポン・アイエルの市場がある建物は、杭の上に建てられた長い平屋で、灯台のような赤い標識が目印になっている。雲が多い日だったが、水面が広がる光景はどこか映画的で美しかった。

夜のブルネイ——ナイトマーケットとレストランを満喫
夜はいつものように市内を歩き回った。屋台が立ち並ぶナイトマーケットに近づくと、賑やかな声と料理の香りが漂ってくる。地元の若者たちがグループで集まって、タコ焼き風の食べ物(バソ)をトレーにたくさん並べて売っている屋台があった。

妻がその場で一包み買って「すごく美味しい!」と喜んでいた。甘いソースとフライドオニオンがかかっていて、確かに一口食べると止まらない味だった。言葉が通じなくても、料理を通じて現地の人たちと笑顔で交流できるのが旅の醍醐味だと思う。
ディナーは少し落ち着いたレストランへ。カウンターの奥でスタッフが丁寧に料理を準備している光景を見ながら、旅の最後の晩餐をゆっくりと楽しんだ。店内には植物が飾られていて、程よいBGMが流れていて、リラックスできる空間だった。

食後に少し散歩すると、夜のブルネイの街並みが広がっていた。スターバックスやシークレットレシピの看板が並ぶ通りは明るく、人々が思い思いに夜を過ごしていた。観光地として整備された一面と、地元の人々の日常が共存している、そんな夜だった。

旅の最終日——ブルネイ空港からの帰国
翌朝、ホテルをチェックアウトして空港へ向かった。ブルネイ国際空港の出発ターミナルに入ると、英語とアラビア語で書かれた「Departures」の案内板が目に入った。この旅もいよいよ終わりだと感じた瞬間だった。

搭乗前にロイヤル・ブルネイ航空のラウンジへ。広くて清潔なラウンジには、世界各地の時刻を示す時計がずらりと並んでいた。ブルネイ時間が16時56分を示しているのを見ながら、「もうすぐ帰れる」という安堵と「まだいたい」という名残惜しさが同時に込み上げてきた。

機内に乗り込み、ピーナッツとジュースで一息つきながら、窓の外のブルネイの空を眺めた。この旅で体験したことを、一つひとつ頭の中で振り返った。水上集落の静けさ、モスクの荘厳さ、ジャングルの濃い緑、ラフレシアの不思議な存在感、そしてジップラインの爽快感——どれも日本では絶対に体験できないことばかりだった。

成田空港に戻ってきたとき、あの広い出発ロビーを歩きながら「また来たい」と思っていた。妻も同じだったらしく、「次はどこに行こう?」とにやにやしながら言ってくれた。

旅を終えて思うこと
ブルネイという国は、日本からのフライトが直行便で6時間ほどと近いにもかかわらず、まだまだ知られていない部分が多い。イスラム教を国教とする王制国家、石油で潤う小さな豊かな国、原生林が残るテンブロン国立公園——どれをとっても独特の魅力がある。
この旅でいちばん感じたのは、「行ってみなければわからないことがある」という当たり前のことだ。観光地として整備されたモスクや博物館はもちろん美しいが、ナイトマーケットで地元の若者と笑顔を交わしたり、ジップラインで空中から森を見下ろしたりといった体験は、現地に行って初めてできること。
旅に出るには時間もお金もかかる。でも、それを「今日の自分」への投資だと思えば、それは将来の自分への最高の贈り物になる。老後に体が動かなくなってから「あのとき行けばよかった」と思わないために、動ける今、一緒に動ける相手がいる今、旅をし続けたいと思っている。
ブルネイの旅はこれにて完結。次の旅の記録も、またこのブログに綴っていきます。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。





