【第5話|国境を越える朝】ラオスからタイへ、メコン川を渡る

■朝の静けさの中で
ラオスの朝は、驚くほど静かだった。
まだ街が完全に目覚めていない時間。
空は淡いオレンジ色に染まり、夜の空気がゆっくり朝へと変わっていく。
ホテルを出て車に乗ると、道路は思ったよりも空いている。
通勤ラッシュのような慌ただしさはなく、ゆっくりと一日が始まる空気が流れていた。
向かう先は「国境」。
この旅の目的のひとつ、
ラオスからタイへの陸路での国境越えだった。
■ラオス出国
国境の施設に到着すると、そこにはすでに多くの人が集まっていた。
バックパックを背負った旅行者。
仕事へ向かう人。
家族連れ。
椅子も少なく、床に座って待つ人たちもいる。
ラオス側の出国手続きは比較的シンプルで、
ゆったりとした雰囲気の中で進んでいく。
空港のような緊張感はない。
ここでは国境も日常の一部のようだった。
■メコン川を渡る
出国手続きを終えると、車で橋へ向かう。
その橋の下を流れているのが、
東南アジアを代表する大河「メコン川」。
車窓から見える川は想像以上に大きく、
ゆったりとした流れが広がっていた。
この川が国境になっている。
つまり――
橋を渡れば、もうタイだ。
ほんの数分の距離。
それでも「国境を越える」という感覚は、
どこか特別なものだった。
■タイ入国
橋を渡ると、目の前に大きな建物が見えてくる。
屋根には大きく書かれた文字。
**THAILAND**
ここがタイ側の国境施設。
ラオスとは雰囲気が少し違う。
建物も大きく、車の数も多い。
入国審査の列に並びながら、
ふと振り返る。
ほんの数分前までいたラオス。
橋ひとつで国が変わる。
それが不思議でもあり、
旅の面白さでもある。
■国境という場所
国境は、地図の上では一本の線。
しかし実際に立ってみると、
そこには人の流れがあり、生活があり、物語がある。
出稼ぎに向かう人。
観光客。
商人。
国境を越えて通学する学生。
ここは「境界」ではなく、
人と人が行き交う場所だった。
■旅はまだ続く
タイへ入国すると、景色は少しずつ変わっていく。
道路の広さ。
建物の雰囲気。
走っている車。
同じ東南アジアでも、
国が変われば空気も変わる。
ラオスを離れたばかりなのに、
すでに次の旅が始まっている。
メコン川の向こうに広がる世界。
この旅はまだ、始まったばかりだった。
―― 第6話へ続く ――




